風のタウマゼイン
<作品紹介>
いろいろな人々の生活や人生を背景としながら、
戦争で荒廃した大地に一人で黙々と木を植え続けていった
老人の生涯を描いたアニメーション作品です。
不毛の大地に生命の輝きを取り戻すことを夢見た老人の姿は、
無関心だった周囲の人にも共感を呼び起こしていきます。
そして、人間が自然の中で、安らぎを取り戻していく大きな動きとなっていきます。
ジャン・ジオノの小説を、イラストレーターであるフレデリック・バックが、
アニメーションにより映像化したもので、1987年度アカデミー賞短編映画賞を受賞。
日本では、あすなろ書房から絵本も発刊されました(1989年)。
この作品は、世界中に植樹運動を広めるきっかけともなっていきました。
バックは、5年半の時間をかけて2万枚に及ぶ原画を、ほぼ一人で描き上げました。
その作品は、モノクロを基調としつつも、細やかで繊細さが際立つ色調をもち、
一コマ一コマを“絵画”として味わうことも可能な完成度の高さです。
<作品を知ったきっかけ>
建築と自然との関わりについて考えていた時期に、
アニメーション映画『風の谷のナウシカ』(1984年3月11日公開)を観て、
宮崎監督に興味を持ちました。
その宮崎氏の薦めるいくつかのアニメーション映画のうちの一つが『木を植えた男』でした。
実際に観ることになるのは、ロンドン留学からの帰国後で、
私が地球と人間との関わりへの考察を深め始めた、まさに転換期にあたります。
本来の自分自身のミッション、生き方にも大きな影響を与えることとなり、
私の原点を象徴するといってよいものの一つとなりました。
『木を植えた男』の世界につながる、もう一つのオススメ物語
⇨ 虔十公園林(けんじゅうこうえんりん)』宮沢賢治
【作品情報】
『木を植えた男/フレデリック・バック作品集』
製作年:1987年
製作国:カナダ
原題:L’HOMME QUI PLANTAIT DES ARBRES/THE MAN WHO PLANTE
販売元:ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社
監督:フレデリック・バック
時間:30分
<収録作品>
1.アブラカダブラ(1970年/約9分)
2.神様イノンと火の物語(1972年/約10分)
3.鳥の誕生(1972年/約10分)
4.イリュージョン?(1975年/約12分)
5.タラタタ(1977年/約8分)
6.トゥ・リアン(1978年/約11分)
7.クラック!(1981年/約15分)
8.木を植えた男(1987年/約30分)
9.大いなる河の流れ(1993年/約24分)