風のタウマゼイン
ガイアブル 座談会 ②
特集 アイランド・ロラン
〜 なぜ今、ロラン島なのか? 〜
2018年4月6日開催
【 参加者 】
● 2017年ロラン島ツアー参加 ガイア都市創造塾 1期生 東京校
早川 大悟さん( 右端 )
● 2017年ロラン島ツアー参加 ガイア都市創造塾 1期生 東京校
横田 美宝子さん( 右から2番目 )
● 2018年ロラン島ツアー参加予定 ガイア都市創造塾 2期生 東京校
流田 和啓さん( 左端 )
● ロラン島初体験 ガイア都市創造塾 2期生 東京校
三浦 元伸さん( 左から2番目 )
流田)
自分にもOKを出しているし、他人のことも許容しているということですね。
横田)
そうなんです。森の幼稚園なんて、まさにそうで、結構やんちゃな子も多いし、悲しそうな顔の子もいたんですけど、色んな子がお互いを認め合っているというのが分かりましたね。
流田)
森の幼稚園の場合、例えば、騒がしく荒れているなっていう時は、大人はどういった対応をしているんですか。
早川)
森の幼稚園は、自然そのものが校舎になっていて、ご飯を食べる時だけ屋内に入るようになっているんです。雪が降っても、そのまま屋外で過ごすらしいんですね。日本だったら、広い自然の中で、どこか見えないところに行ってしまったり、怪我でもしたらどうするのっていうところが気になると思うんですけど、ルールはとてもシンプルで、先生の見える範囲にいることを守れば、何をしても自由なんです。イメージとしては、柵のある放牧って感じですね。
横田)
囲うから出たくなるだけであって、自由にしなさいっていうと、そんなにめちゃくちゃなことはしないんだなっていう。でも、それにはプロセスがあって、先に手を出さないということですね。どうしても、怪我をするからとか、危ないからやめなさいって指導しちゃうんですけど、ちょっと怪我をしたり、水溜まりに入って気持ち悪いという感覚を自分で体験したら二度としない、それをやらせているから全部自分のものになっているとは仰っていましたね。
三浦)
そうなんですね。日本だと横断歩道は危ないからとか教えるお母さんがいるじゃないですか。ロランのお母さん達はどうなんですか。
横田)
もう、教育者に委ねてますよね。それは、先生と保護者が密に話しているからだと思います。お迎えに来た時に伝達をしていたので、よくコミュニケーションをとっているのが分かりました。それと、先生が私たちに説明をしている時でも、これはちょっとケアしなきゃいけないなって子どもがいると、パッとその場を離れてケアをする姿が印象的でしたね。日本人だと、まずこれをしなきゃとか、目の前にいる人に申し訳ないからと考えてしまいがちなんですが、全くそういう躊躇はなかったですね。
早川)
私たちに説明している途中でも、ちょっと待ってくださいねって言って、パッと子ども達のところに行くって感じでしたね。子どもとかが喧嘩をしていても、本人たちで解決させる。たとえ幼稚園生であっても、どっちがいい悪いということに大人は入らず、こうされたらどう思うとか、こう言ったらどう思うとか、それじゃどうするっていうことを本人たちに考えさせるそうです。大人たちも、子どもとして見るんじゃなく、一人の人間として扱って、尊重しているのはとても感じましたね。尊重されているからこそ、自分の意見をしっかりと伝えられるのかなということも感じました。
三浦)
日本だと、幼稚園の先生は仕事が大変とかよく言いますけど、森の幼稚園の先生たちは、どんな思いを持って仕事をされているんですか。例えば誇りを持ってやっているとか。
横田)
やりたいからやっているっていう感じでしたね。何人か男性もいましたけど、年配の園長先生もアシスタントの方も、やりたいからやっているという雰囲気がひしひしと伝わってきましたね。幼稚園だけじゃなく、どの仕事に就いている方からもやりたいからやっているという意思を感じました。リサイクルセンターの方もそうでしたね。
流田)
自分の道を進んでいるって方が多いんですね。
早川)
リサイクルセンターの方は、元々副社長で定年退職した後も、仕事が好きすぎて、ツアーで見学に来た人向けのガイドをやっているんですよ。
横田)
現場で新入社員がやるような仕事をやって見せてくださったりして、またその時の笑顔が素晴らしかったですね。それを見ているだけで幸せを感じましたね。ずっとその表情を見ていたいなって。
早川)
私、英語とか分からないんですけど、明らかに楽しそうだなっていうのは伝わってきました。
横田)
リサイクルの専門的なことは分からなかったんですけど、その楽しそうな表情を見ているだけで、ずっとその場にいたいって思いました。
三浦)
様々な場所で、幸せという状況自体がずっと続いてるんですね。
横田)
そうですね。
三浦)
以前、幸せな人はずっと笑顔というお話を聞いたことがあって、そんな人達がロラン島にはたくさんいるということなんですね。
流田)
その根底にあるのは、幼い頃からの教育や環境なんですかね。
横田)
多様性と対話が日常に根付いているってことですね。
早川)
昔からそうだったのか、何かのきっかけでそうなったのかは分からないんですけども。
流田)
そうですよね。国の教育方針としてそうなったのか、自然に昔から脈々と受け継がれてきたのかが気になりますね。日本でも実現することができるのかということにもつながっていきますよね。
横田)
私が強く感じたのは、優等生とか風紀委員みたいな人がいなくて、不安になることもあると思うんですよ。ともすると、陰か陽かと考えると、なるべく人は陰の部分を持たない方がいいって言われてますけど、怒ることも不安になることも人間の一つという考えを基に、対話がなされているんです。決していい子ばかりがいるわけじゃないんですよね。
早川)
決まった枠がないなっていう感じですね。これが世の中だったら正しいよとか、こういう人が優等生だから目指しましょうっていうのがないですね。
横田)
それと、風車があるところも、原発を建てる予定だったところで、風車が完成するまでに何十年とかかっているんですよね。そういったところでも対話が重要視されているなと感じました。
早川)
デンマークでは、国として原発を作ろうという話があったんですけど、国民投票で再生可能エネルギーを選択したので、原発の候補地に風車で発電する施設を作ったそうなんです。対話を大切にしているということが分かる象徴的な出来事ですよね。
流田)
それは、国対市民が話し合っているという感じなんですか。
横田)
そうですね。政治にも小学生が関わるし、要は官、民というのがとても風通しがいいんです。
早川)
小学生も疑似選挙をやるんですよ。今回の選挙で誰に投票する?って。子ども達が選んだ人と大人達が選んだ人が違った場合、そこから議論を始めるんですよ。
流田)
それは面白いですね。自分の考えを持って、伝えて、議論するということが身についているんですね。
早川)
小学校1年生からプレゼンをやるんですよ。2年生からはパワーポイントも使って、皆の前で発表するそうなんです。
流田)
すごいですね。
早川)
ホームパーティーの話も聞いたんですけど、昼に集まって、帰るのが翌日の午後になるのが普通なんですって。色んな議論や対話が盛り上がって翌日になってしまうのがいつものことみたいですよ。
流田)
あっという間に翌日になっちゃうんですね。盛り上がる話っていうのはどんなことを話しているんでしょうか。
早川)
たわいないことも話しているんでしょうけど、教育やエネルギーなど国についての話もしているんでしょうね。
第三話に続く